性状に関するFAQ
SAE(粘度) とは?
「SAE:10W-30」 等の表記がありますが、SAEとは何のことですか?
「SAE」とは、アメリカ自動車技術者協会(Society of Automotive Engineers)の頭文字をとったもので、オイルの固さを表す粘度規格のことを 言います。
「SAE:10W-30」は、オイルの粘度(ねばっこさ)を表すもので、外気温に対する適応可能範囲を知ることができます。
前半部分の「10W」は低温時の使用可能温度を表し、数値が小さいほどオイルが柔らかく、低温時の始動性に優れます。
逆に後半部分の「30」 は高温時の使用可能温度を表し、数値が大きいほどオイルが硬く、暑くても熱ダレしにくいことを表します。
ちなみに「SAE:10W-30」の使用温度範囲の目安は、「-20~40℃」の外気温に対して適切な潤滑を得られるオイルということになります。
選び方に関するFAQ
良いエンジンオイルは?
良いエンジンオイルとはどんなオイルですか?
メーカー泣かせの質問ですね(笑)。
良いオイルの定義が使用者によって違うので、一概に「これが良いオイル!」とは言うことができませんが、考えられるケースで良いオイルを上げると次のようになります。
●性能面…100%化学合成油
●品質面…API、ACEA等の最新規格認証品
●価格面…鉱物油
残念ながら全てを網羅するオイルはこの世に存在しません。
性能、品質を求めれば経済面は成り立たず、逆に経済面を求めれば性能、品質は成り立ちません。
何を比較すればいいの?
エンジンオイルを比較するとき、どこを比較するのが良いのですか?
大型量販店に行くとメーカーは多いし、種類はいっぱいあるし何をどう比較していいのか分からなくなりますよね。
上記の質問の「良いオイルの定義」同様、何を求めるかによって比較する項目は変わってきますが、次のような点で比較すると良いと思います。
性能に関するFAQ
オイルクーラーで性能が上がる?
オイルクーラーがあるとエンジンの性能が上がるのですか?
オイルクーラーはその名の通り、オイルを冷やすために装着するもので、エンジンの性能を上げるためのものではありません。
エンジンパワーを挙げるようなチューニングを施したクルマは、普通のクルマに比べて、エンジンが発する熱量も多くなります。
そのため、エンジン内を循環するオイルは従来以上に高い温度になり、その状態で循環を続けると、オイル本来の働きである5つの作用を充分に満たすことができません。
その中でも、冷却作用と潤滑作用、密閉作用に関しての影響は大きく、最悪の場合、油膜切れを起こしてエンジンに致命的なダメージを与えてしまう可能性があります。
オイルクーラーを装着することで、このようなトラブルを未然に防ぐことができるわけです。
省燃費オイルで燃費はよくなる?
「省燃費型エンジンオイル」という製品を入れると本当に燃費が上がるのですか?
夏場に冷たいものを…との考えからファーストフード店に入り、シェイクとジュースを注文しました。
どちらの方が吸う力を要しますか?くだらない質問ですが、シェイクの方がドロドロなのだから当たり前ですよね。
吸う力がより必要なシェイクの方がジュースを飲むよりもエネルギーを消費します。(たかが知れてますが…)
エンジンオイルも同様で粘度が硬い方がよりエネルギーを必要としますから、燃料消費量が多くなります。
つまり省燃費型オイルは、粘度が柔らかいものを言います。
では、省燃費型オイルを入れると燃費が上がるか?ですが、同じ車両で同条件の走行であれば、省燃費型オイルのほうが粘度による抵抗が少ないため、燃費はよくなります。
特にエンジン始動時からエンジンが暖まるまでの間は確実に省燃費型オイルのほうが燃費は良いでしょう。
ただし、1Lあたり5kmしか走らなかったクルマが省燃費型オイルを入れたからといって、10km走るとかそういった大きな変化はありません。
あくまでも数%レベルで燃費がよくなる程度です。
また、省燃費型オイルは粘度が低いオイルなので、全ての車両に適用できるものではありません。
車両のリアガラスに「三ツ星(四つ星)」ステッカーが貼られている最新の省燃費車にご使用ください。
なぜオイルが必要?
エンジンオイルやギヤオイルは何のために必要なのですか?
エンジンオイルには大きく分けて5つの働きが求められています。
(1)潤滑作用…エンジン内部の金属と金属の摩耗を防止、エンジン各部を円滑に作動させる。
(2)冷却作用…エンジン内に発生する熱を吸収し、加熱を防止する。
(3)密封作用…ピストンとシリンダーの隙間を密封し、圧縮・爆発時のガス漏れを防ぐ。
(4)清浄分散作用…ススやスラッジなどの燃焼生成物がメタルに付着するのを防ぎ、オイル中に分散させる。
(5)腐食防止作用…燃焼や高温によって発生する酸性物質や水分によるエンジン内の金属の腐食や錆を防ぐ。
マニュアルトランスミッション内部には、たくさんのギヤ(歯車)が存在します。
これらのギヤが噛み合うことで動力を伝えるわけですが、ギヤ同士が噛み合う部分は、摩擦作用が強く、熱の発生量も多くなります。
ギヤオイルは、この摩擦作用を和らげ、熱を下げるために重要な役割を果たしています。
もし、ギヤBOX内にオイルがなかったとしたら、ギヤは金属同士の接触により破損したり、高温によりギヤが溶けてしまい、動力を伝えることができず、動かなくなります。
オイル交換に関するFAQ
交換しないとどうなる?
エンジンオイル交換をしないとどうなりますか?
金魚を飼っている人が水槽の水を交換しないとどうなりますか?たぶん、こけが付着して段々と濁ってくると思います。
放っておいたら金魚の体調に影響を与えると思いますよね。
エンジンオイルも同様に、走ることに起因するさまざまな要因(高温にさらされる、燃料の燃えカス・水分が混入する等)で劣化(汚れ)していきます。
劣化したままのオイルを使用しつづけると、エンジンに対して悪い影響を与えてしまい、クルマの寿命を縮めてしまいます。
そうならないためにも定期的なオイル交換をお勧めします。
交換の頻度は?
エンジンオイルはどれくらいの頻度で交換した方が良いのですか?
さまざまな要素が絡むため、一概には言えませんが、自動車メーカーの純正オイルを使用しているのであれば、クルマの取扱説明書やエンジンルーム内に記載されているオイル交換推奨距離以内であれば問題ないと判断しています。
しかし、オイルにとって過酷な走行条件(「ストップ&ゴーが多い」とか「山間部での走行が多い」など)になると通常よりもオイルの劣化は早くなります。
特にクルマにこだわりを持って純正オイル以外のオイルを選択している(「改造している」とか「サーキットを走る」など)場合は、どんなに良いオイルを入れていても通常の使用に比べると劣化は早くなります。
人それぞれ用途の違いがあるため一概に交換期間を定義するのは難しいですが、距離にして5,000km前後、期間にして6ヶ月前後で交換するのがクルマにとっては良いと思います。
オーバーヒートしたらオイルも変える?
エンジンがオーバーヒートしてしまいました。エンジンオイルも交換した方が良いのでしょうか?
オーバーヒートはその名の通り、「エンジンが必要以上に熱くなる現象」ですから、エンジンを冷ますための働きができていないことを意味します。
即ち、エンジンを冷やすための冷却水もしくはエンジンオイルがその機能を果たしていないわけです。
原因を究明すると同時に仮にエンジンオイルに原因がなかったとしても、オーバーヒートしてしまえば、熱による劣化によってオイルの冷却機能が発揮できなくなっているわけですから、エンジンオイルの交換は必要です。
エンジンによって使うオイルが変わる?
エンジンによって選ぶオイルも変えた方が良いのですか?
エンジンを大別するとガソリンエンジンンとディーゼルエンジンの二つに分けられます。
これらに関しては当然、各々のエンジン用のオイルを使用しなければなりません。
では、○○社のクルマと××社のクルマで使うオイルを変える必要があるかと言えば、その必要はありません。
ただし、構造上に違いがあるエンジン(ロータリーエンジン等)に関して言えば、気をつけるに超したことが無い程度で、専用オイルじゃないとダメだということはありません。
ギヤオイルの交換目安は?
ギヤオイル・ATFはどれくらいで交換したら良いのですか?
自動車ディーラーに行ってもエンジンオイルの交換は言われても、ギヤオイルの交換を言われることはないと思います。
しかし、ギヤオイルはタイヤが動けば仕事をしています。そういう意味ではエンジンオイルよりも働き者なのです。
本来はエンジンオイルと同様に定期的に交換してあげる方が良いのですが、レベルゲージもないですから、汚れ度合いもわかりません。
用途によって交換サイクルは変わりますが、シフトチェンジ時に違和感(重い感じがしたり、入りづらかったり)を感じた時が交換目安と考えてください。
また、ATFの場合は通常のギヤとは機構が違いますが、密閉された空間の中で仕事をしているわけですから適切な距離(50,000km程度)を走行したら交換してあげた方が良いでしょう。 エンジンオイル、ギヤオイル、ATF、どれも使えば汚れるし、性能は落ちるわけですから交換しないよりは交換した方が良いでしょう。
自分で交換できる?
オイル交換って自分で簡単にできるのでしょうか?
クルマの点検や車検、量販店などで交換するケースが圧倒的に多いと思います(私もそうでした…)。
でも、やってみると以外に簡単にできるものです。